特集『コンタクトレンズによる障害』

コンタクトレンズは高度医療管理機器。使用方法を間違えると目に障害を与えます。どんな障害があるでしょうか?
シリーズで紹介します。

角膜上皮障害~レンズがあっていない

コンタクトレンズは異物ですので、レンズが目に合わないと角膜(目の表面)に傷がついて、ころころしたり、痛くなったりします。主な原因として①レンズが目に合っていない②乾き(ドライアイ)③レンズの汚れなどがあります。①は、目の大きさとレンズの大きさがあっていない場合に起こります。目の大きさは、成長期(中学・高校)は時間とともに変わります。また、20歳以上でも、目の白目が膨らむなど目の表面が変わってきますので、定期的に目の大きさを確認しながら、あったレンズを変える必要があります。特にインターネットでレンズ(カラコンなど)を買っている場合に目に合わないレンズを使っていることで、目に異物感が出てくる患者さんがいらっしゃいます。その場合は適切なレンズに変更する必要があります。この場合は点眼ではなかなか治りません。眼科医院で目にあったレンズを処方してもらう必要があります。

角膜上皮障害~レンズがあっていない

角膜上皮障害~ドライアイ

コンタクトレンズと角膜という目の表面の間には涙があります。涙は干渉剤の役割をしていて、レンズの目に与える刺激を抑えています。その涙が少ない場合(ドライアイ)は、角膜の表面に傷ができやすくなります。ドライアイが関係しているレンズによる傷に対する対処として①点眼治療(レンズの上からさす点眼で涙を増やします)②目にあったレンズに変更する。当院ではコンタクトレンズ装用者のドライアイを特殊な機械で測定しながら、対処方法を考えています。写真はレンズ装用中にドライアイによって傷ができた写真です。真ん中の緑の点が傷です。

角膜上皮障害~ドライアイ

角膜上皮障害~レンズの汚れ

コンタクトレンズに汚れが付くと、その汚れによって、目の表面に傷がつきやすくなります。汚れは、大きくタンパクによる汚れと、油による汚れがあります。アレルギー性結膜炎があると、炎症によってタンパクが涙に含まれるのでレンズがタンパクで汚れます。また、油汚れは、女性ですと化粧品などによって生じます。いずれも目に異物感を引き起こすので、レンズをきれいにする必要があります。対処方法として①レンズケアを見直す②レンズの種類をかえる。レンズケアですが、やはりこすり洗いを非常に重要です。こすることでタンパクを物理的に除去します。また、レンズケアの種類によっては、油汚れ除去に強いレンズケア用品もあり、レンズ汚れの種類(タンパク汚れか、油汚れか)をみて、消毒ケア用品を変更する必要があります。さらにそれでも汚れやすい場合は、レンズの種類を変える必要があります。2週間頻回交換レンズから1日使い捨てに変更したり、蛋白の汚れが付きにくいシリコーンレンズ帰るようにしています。当院では、レンズの汚れを確認する機械で、レンズ汚れの種類などを確認して、適切レンズ、レンズケアをすすめています。

角膜上皮障害~レンズの汚れ

感染症

レンズは異物ですので、その異物にばい菌が付着し、レンズでできた目の表面の傷からばい菌が侵入すると目の表面に感染し、角膜が白くなったりします。原因としては、レンズケアが徹底されてなかったり、レンズケースが汚れたり、レンズを長期間装用し足りしている場合に起こります。何度も繰り返す患者さんもいらっしゃいますので、当院でもはケアの徹底や方法の変更などの指導を行っています。治療しにくいばい菌によって、感染すると角膜がどんどん白くなって、失明状態になります。たかがレンズケア、されどレンズケア、レンズケアを怠りませんように。

感染症

アレルギー

レンズやレンズに付着したタンパクに対して、強いアレルギー反応を起こす場合があります。特に長期間汚れたレンズ装用すると上まぶたの裏に乳頭というデコボコしたものができて、かゆみや異物感の原因になります。治療としてはレンズ装用を中止して、ステロイド薬や抗アレルギー薬の点眼を行います。かゆみを自覚した場合は無理にレンズ装用を続けず、眼科で診察を受けてください。

アレルギー

低酸素

目の表面は空気中の酸素を栄養分にしています。そのため、コンタクトレンズはある程度酸素を通す必要があります。最近では酸素透過性が高いシリコーンハイドロゲル素材のソフトコンタクトレンズがあり、目にも優しくなりました。ただ、それでも異常に長く装用したり、つけたまま寝るなどをすると、目の表面が酸素不足になり、充血したり、角膜という黒目に炎症が起こって、水ぶくれを起こしやすくなります。ですので、使用期間を守ることが重要です。
(写真:レンズをつけたまま寝たのちに、見えにくくなった症例)

低酸素

瞼裂斑

瞼裂斑は目の黒目と白目の間にできるふくらみのことで、コンタクトレンズ装用者に多く見られます。通常は悪さはしませんが、なんらかの拍子で炎症をしょうじて、ふくらみ、レンズとより接触することでより、大きくなって充血します。このことを瞼裂斑炎といいます。瞼裂斑炎の治療はレンズ装用を控え、場合によってはステロイド薬などの消炎剤を使用します。また瞼裂斑があることで、レンズがずれることもあり、遠近両用レンズや乱視矯正用のレンズが合いにくくなることもあります。ですので、眼科で適切にフィッティングをみながらレンズを処方することが重要です。
(写真 瞼裂斑炎)

瞼裂斑

眼瞼下垂

まぶたがさがることを眼瞼下垂といいます。ハードコンタクトレンズを長期に装用するとまぶたの裏の筋肉が薄くなり、眼瞼下垂がおこることがあります。ただ、ソフトコンタクトレンズでも起こることもあります。まぶたがさがり、瞳孔(光が入る窓)にまぶたがかかると視力が落ちることもあり、その場合はまぶたがあげる手術も必要になります。眼瞼下垂があるか確認して、装用継続を考えることも必要です。
(写真 ハードレンズ装用者の眼瞼下垂)

眼瞼下垂

カラコン障害

その1の上皮障害でも紹介しましたが、カラコン(通販や小売店で販売しているもの)を装用し、目の表面に傷ができることがあります。通常色素をサンドウィッチしているので大丈夫と言いますが、メニコンのReiやジョンソン&ジョンソンのディファインのように色素がしっかり埋め込まれていて、表に色素が出てこないものは障害も少ないのですが、カラコンのなかで薄い皮膜を色素の上に覆っているだけのレンズだと、すぐに色素が出てきて障害を引き起こすことがあります。カラコンの素材はHEMAといわれるとても古く(現在のソフトコンタクトレンズにはほとんど使われない)酸素を通さない素材で作られていることが多く、充血もしやすいようです(充血しても色素でよく確認できませんが・・)おしゃれも健康的にするのがいいのかな?とおもいます。当院では安全なカラコンをお勧めしています。下の写真はとあるカラコンを拡大した写真です。色素が表に露出しています。

カラコン障害

ハードコンタクトレンズ下方固着

ハードコンタクトレンズが下方にくっついてしまい、動かなくなり、視力低下や異物感を感じることがあります。その場合、コンタクトの端(エッジ)や大きさ、そしてカーブを変える必要があります。原因として、ハードコンタクトレンズの汚れやカーブがあっていないときなどに起こります。ハードコンタクトでも定期的に目の診察をする必要があります。

ハードコンタクトレンズ下方固着

血管侵入

角膜は透明な組織で血管は入っていません。その代わりに、空気中の酸素を取り入れています。コンタクトレンズによって、慢性的に酸素不足になったり、ハードレンズが角膜にあたったりすることで、血管が侵入する場合があります。少しでしたらほぼ症状はありませんが、その場所は盛り上がるとコロコロしたりします。予防には、酸素の透過性の高いレンズの装用や正しいハードレンズのフィッティングが必要になります。
(写真はハードレンズにみられた血管侵入です)

血管侵入

手洗い?

レンズ障害ではないですが、コンタクトレンズを装着する前には必ず手洗いが必要です。というのも、手にはばい菌やよごれなど、コンタクトレンズに付着すると障害をおこす原因になるものがあります。手洗いといっても、水洗いのみでなく、石鹸などをつかってしっかり洗うことが必要です。実験をしてみました。手洗いなし、水洗いのみ、石鹸で手洗い、石鹸で手洗いのあとエタノール消毒の4通りの手の表面のばい菌を観察します。写真は実際手についていたばい菌が培地で生えたものです。白い点がおおければ菌が多いということになります。手洗いなしはもちろん水洗いのみでも菌が残っていますよね。何気ない作業ですが、手洗いをしっかりすることがレンズ障害をへらすことになります。是非レンズ前にはしっかりとした手洗いを!

手洗い?

眼精疲労

コンタクトレンズ装用中に、目が疲れるといわれる方がいます。ドライアイが原因のこともありますが、レンズの度数があっていないこともあります。特に、ネットで購入されている方で、過矯正(度数が強すぎる)なコンタクトレンズをされている方がおられ、かなりの眼精疲労を生じていました。また、乱視矯正が的確にされていない場合も眼精疲労になりやすいです。「度数なんてそんなに変化しないでしょう?」って思われるかもしれませんが、中高生はもちろん、成長にともない、短い期間で変わりますし、20歳以上でも乱視は変化することが多いので、少なくとも半年に1回は眼の正しい度数を眼科で調べる方がいいと思います。また、乱視矯正用のソフトレンズでも、ときに、ドライアイなどの軸ずれ(レンズの乱視矯正の軸がずれる)を起こしますので、眼科医による診察が必要です。また、ネット購入者で眼鏡の度数と同じ度数になっている方もいらっしゃいますが、度数が強いと少し弱める補正をしなければなりません。レンズ装用中の眼精疲労を感じたら一度眼科での診察をお勧めします。(最近、コンタクトはしてませんが老眼がはじまり、パソコン作業後はつかれる院長です)

眼精疲労

レンズの下の異物

コンタクトレンズの下に異物が入ると劇的に痛くなります。もちろん、すぐにレンズを外して、レンズの洗浄をしましょう。もしもレンズを洗っても、症状が取れない場合はレンズの装着はせずに、様子を見て、痛みが続く場合は眼科受診してください。

レンズの下の異物

マイボーム腺機能不全

コンタクト装用者は、明らかな原因は不明ですが、マイボーム腺という眼のふちにある脂の腺が詰まりやすいといわれています(写真:マイボーム腺がつまって、しろい固まりが見える)。マイボーム腺から出る脂は涙やレンズの表面の渇きを予防してくれるのですが、マイボーム腺機能不全ではその脂が出ないので、不快感を起こすことがあります。また、その脂がレンズに付着して汚れの原因になります。正常な脂の分泌を促すためには、目を温める温罨法と眼のふちをおそうじすることが重要です。当院ではマイボグラフィーという機械を使って、マイボーム腺を観察し、状態を把握しています。

マイボーム腺機能不全

コンタクトレンズ老眼対策-1

レンズ障害ではありませんが、40代以上になると、コンタクトレンズ装用した状態では近くが見えにくい、いわゆる“老眼”が出てきます。コンタクトレンズ老眼の対策について、4回シリーズで説明します。1回目は、一番導入しやすい近用の眼鏡(最近ではシニアグラスというよりスマホグラスとか言われていますが)です。遠くにピントを合わせて、近くは年齢に応じて、眼鏡をします。40代なら+1~1.5Dのレンズ、50代なら+1.5D~2.5Dのレンズを装用します。最近は、100円ショップなどで売っていますが、瞳孔の間の距離の矯正など、やはり眼鏡店のものをおすすめします。ただ、ためしがけにはいいかもしれません。遠くを見る仕事(運転など)がメインな方には、この方法がいいかもしれません。シリーズは続きます・・・

コンタクトレンズ老眼対策-1

コンタクトレンズ老眼対策-2

2つ目の対策としては、近くが見えやすいようにコンタクトレンズの度数を落とすことです。たとえば、レンズ装用した状態で(1.2)あったところを(1.0)や(0.8)にします。具体的にはレンズ度数を+0.5~1.5ほど落とします(-4Dなら-3.5や-3Dへ)。すると近くは見やすくなります。ただ、夜間の運転には不満を感じるかもしれません。その場合は、運転用の軽い遠く用の眼鏡を使用する場合もあります。運転はあまりしない+デスクワークが多い人にはこの方法が向いています。度数調整は、トライ&エラーで繰り返し行いますので眼科で相談してください。

コンタクトレンズ老眼対策-2

コンタクトレンズ老眼対策-3
遠近両用コンタクト

やはり、遠くも近くも眼鏡をかけたくないといった場合には、遠近両用コンタクトレンズを使用する場合があります。ソフトコンタクトレンズの場合は、中央に近くもしくは遠く用のエリアがあり、周辺部にはその逆用の度数が入っています。一般的に同時視といわれ、遠用・近用とも同時にみるけど、よく見える方で視覚を形成します。すぐに両方とも見える場合もありますが、人によっては慣れが必要になります。ただ、あえば、遠くも近くもよくみえるので、満足度も高いです。ハードコンタクトの場合も同様ですが、種類によっては顎を少し上げて近くを見るようにする慣れも必要になります。各メーカーによって遠近用レンズも規格が異なるので、いろいろ試してみてはいかがでしょうか?ただし、乱視が強い人は向いていないことがあります。

コンタクトレンズ老眼対策-3遠近両用コンタクト

コンタクトレンズ老眼対策-4
モノビジョン

3で紹介した遠近両用レンズがやはり、慣れない、焦点が合わしにくいという場合には当院ではモノビジョンというあわせ方をトライしています。モノビジョンとは、片目を遠くにあわせ、反対目を近くにあわせるという手法で、通常はきき目を遠くにあわせます。この方法も慣れが必要ですが、合う人には意外と気に入られる方法です。特に、乱視が強くて、遠近両用レンズが難しい方には向いています。
以上、コンタクトレンズ老眼対策でした。もちろん、個人によって、ライフスタイルにあわせた方法が必要です。ぜひお近くの眼科にご相談ください。

コンタクトレンズ老眼対策-4モノビジョン

コンタクトレンズディスコンフォート(CLD)-1

はじめに

最近、眼科の学会などではコンタクトレンズ装用中の不快感をContact lens discomfort(CLD)として呼んでいます。その原因は、コンタクトレンズ自体に原因がある場合と環境(ドライアイの合併やエアコン)に原因がある場合とに分けられます。特にコンタクトレンズ自体に原因がある場合は、その原因を明らかにして、対策を練る必要があります。次回から、シリーズとして、CLDの原因と対策をご紹介したいと思います。

コンタクトレンズディスコンフォート(CLD)-1

コンタクトレンズディスコンフォート(CLD)-2
レンズの汚れ

レンズ装用中の原因として、レンズ側の要因の一つとしては、汚れがあります。レンズに汚れが付着すると、レンズの上に涙がきれいに広がらずに乾いてしまいます。ハイドロゲルレンズにはタンパク質が付着しやすく、シリコーンハイドロゲルには脂質が付着しやすいと言われています。付着するタンパク質には涙の中の成分であるリゾチームなどがあります。アレルギー性結膜炎などの炎症があるとより、レンズに汚れが付着し、ゴロゴロしやすくなります。特に2週間頻回交換タイプのレンズで、装用期間が長くなれば乾きやすくなる方は汚れが原因かもしれません。対策としては、①こすり洗いをしっかり行う、②レンズケアを変更する(レンズごとに適切なケア用品があります)、③1日使い捨てに変更する④素材をかえる(ハイドロゲルレンズはシリコーンへ)。ゴロゴロを我慢する必要はありません。お近くの眼科に相談してみてください。

レンズの汚れ

コンタクトレンズディスコンフォート(CLD)-3
コンタクトレンズのデザイン(厚み)

コンタクトレンズ装用中の涙はどこにあるのでしょうか?目の表面(角膜)とコンタクトレンズの間にあるだけではなく、コンタクトレンズの表面にも涙があります。特にコンタクトレンズの上の涙が乾いてしまうと、瞼とレンズがこすれて、コロコロします。なので、レンズ上の涙の量が重要になるのですが、分厚いレンズを装用するともともと目の表面の涙がレンズが押し出されてしまうので、「涙不足」になってしまいます。まるでお水がいっぱいたまったお風呂に入ると水がこぼれてしまうのとおなじように(図)カラコンなどはかなり分厚いので乾きやすくなります。またレンズの厚み以外にもレンズの端っこ(エッジ)のデザインも涙の広がりに影響すると言われています。装用中の違和感を感じた場合、レンズのデザインも再考する必要があります。

コンタクトレンズのデザイン(厚み)

コンタクトレンズディスコンフォート(CLD)-4
コンタクトレンズの素材

コンタクトレンズの表面に涙が広がっていきますが、コンタクトレンズの表面の状態(素材や滑らかさ)によっては、涙が広がりにくくなり、涙が不均一になることで、涙が乾くことがあります。特にコンタクトレンズの素材によっても、涙(水)との相性が異なります。水との相性が良く、広がりやすい状態を『水濡れ性がいい』といわれています。近年、水濡れ性がいい、レンズが多く出ています。特にシリコーンハイドロゲルの素材は、水濡れ性が良くレンズの装用感も向上します。

コンタクトレンズの素材

コンタクトレンズディスコンフォート(CLD)-5
まぶたとの摩擦

コンタクトを装用しているときに、我々は瞬きをします。まぶたが、コンタクトレンズの上を動くのですが、通常は、レンズの上の涙が潤滑剤となって、違和感を軽減します。ところが、このシリーズでもご紹介しているように、何らかの原因でレンズの上の涙が少なくなり、乾いてしまうと、まぶたが直接レンズと接触して、異物感を生じます。その時にまぶたの縁に傷ができます。(英語でLid wiper epitheliopathy 和訳すると「まぶたこすれによる上皮症」)。傷に対しては、ドライアイの薬が効果的ですので、眼科でご相談ください。

まぶたとの摩擦

コンタクトレンズディスコンフォート(CLD)-6
環 境

コンタクトレンズの表面の乾きを起こす外的な影響としては、環境要素があります。特にエアコンは、直接、風が当たってしまうと、レンズの上の涙が乾いてしまい、ゴロゴロしていまいます。さらに、パソコンなどの作業をしていると瞬きの回数が少なくなりますので、それでもレンズが乾いてしまいます。特にオフィスで働かれている方は、エアコンの風向を確認して、風が来るようならば、風が来ないようにするのが重要です。最近では、エアコンの吹き口に翼状の風よけを付けることでかなり、乾燥感は軽減します。また、部屋の湿度をコントロールすることも非常に重要です。当院では、下記の風よけを使用しています。

環 境

コンタクトレンズディスコンフォート(CLD)-7
マイボーム腺機能不全

コンタクトレンズ装用中のゴロゴロは、まぶたとレンズの摩擦で起こることを説明しました。摩擦が長期間続くと、まぶたの縁にあるマイボーム腺といわれる油の出口が閉塞してしまい、涙の成分である油が出なくなることで、より摩擦が進んで違和感が出てきます。当院での研究でも、マイボーム腺の異常とレンズ装用中の違和感などの自覚症状は相関していました。マイボーム腺の機能不全が、よりコンタクトレンズ装用中の不快感を上げていると考えられます。写真のようにまぶたのふちが赤くて、ゴロゴロしている場合は眼科に相談してください。

マイボーム腺機能不全

コンタクトレンズディスコンフォート(CLD)-8
レンズケアの変更

コンタクトレンズの状態によって、目の渇きが異なることをシリーズで紹介してきました。レンズの種類を変えることも対策になりますが、やはり、なかなかレンズの種類を交換するのは手間だという場合もあります。2週間の頻回交換型ソフトコンタクトレンズのばあい、試しやすい方法として、レンズケアを変える方法があります。レンズケアは、大きく1本ですべて行う万能タイプ(Multipurpose solution: MPSと言っています)とつけ置きタイプ(過酸化水素やヨード剤)があります。レンズの汚れを落とすことで、乾きが改善することもあります。また、MPSの中には、保湿剤がはいっており、レンズ上に潤いを与えることで、レンズ上の水濡れ性が良くなって、乾きが改善することもあります。当院では、レンズケアとレンズの乾きについて、多くの研究をしていますので、目にあったレンズケアをご紹介できます。

レンズケアの変更

コンタクトレンズディスコンフォート(CLD)-9
ドライアイにお勧めのコンタクトレンズ

コンタクトレンズは眼の水分を吸収し、さらにレンズの表面から乾燥してしまうので、コンタクトレンズ使用者は使用していない方よりドライアイになりやすいです。

ドライアイでお悩みの方には、「シリコーンハイドロゲル素材」のコンタクトを使用されてみることをおすすめします。シリコーンハイドロゲルは、低含水率(50%以下の水分を含むもの)でありながら、きわめて高い酸素透過性が確保できます。

低含水コンタクトレンズは、水分を必要とせず、目が乾きにくい特徴があります。しかし、高含水コンタクトレンズに比べ、酸素透過性が低いことがデメリットです。酸素透過性が低いと、角膜への酸素が欠乏し、角膜障害を引き起こします。 そこで、低含水で乾きにくく、酸素透過性が高いドライアイ予防に適したコンタクトレンズが、シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズです。(図:シリコーン素材コンタクトの上の涙の写真。シマシマがあるほど安定している)

いしづち眼科では、ドライアイ症状を改善するシリコーン素材のレンズのラインナップも、そろえています。ぜひご相談ください。

ドライアイにお勧めのコンタクトレンズ