特 集 =いしづち眼科


●特集『びっくり病原体シリーズ』

目の病気を起こす外的生物・微生物(あわせて病原体)についてシリーズで紹介します。



びっくり病原体<その1>
ニキビダニ!

実は、睫毛の根元にニキビダニが住んでいることがあります。正常な状態でも住んでいるのですが、まぶたが汚れ、餌となる皮脂が増えるとニキビダニの数が増えまぶたの炎症を起こします。高齢者で、なかなか治らないまぶたの炎症の原因となります。当院ではニキビダニを顕微鏡で見つけ、この疾患を診断しています。治療は、やはりまぶたのお掃除です。
(下の写真は、睫毛についたニキビダニです)

びっくり病原体:ニキビダニ


びっくり病原体<その2>
ブドウ球菌

ブドウ球菌は細菌の一つで、我々の目の周りにたくさん住んでいる菌で通常は悪さをしないので常在細菌とされています。ただし、何らかのきっかけで(目の表面が荒れたり、コンタクトの使い方がわるかったり)菌が増えると、目に結膜炎や角膜炎などの感染症をおこします。ブドウ球菌にも悪玉、善玉がいて、抗菌薬に聞きにくい耐性菌が医療現場で問題になっています。
写真はブドウ球菌の写真です(グラム染色でそめています)

びっくり病原体:ブドウ球菌


びっくり病原体<その3>
スズメバチ

病原体とは違いますが、最近同じ愛媛県で高齢者がスズメバチに刺されてお亡くなりになったというニュースがありましたので目の蜂刺されについてお書きします。
ニュース記事はこちら ※外部リンク;産経WEST
スズメバチなどの蜂は黒いものによってくるという習慣もあり、目の特に黒い部分(本当は透明な角膜)をターゲットにされることもあります。蜂の毒が角膜に残ると角膜が白くなることもあります。ただ毒が角膜の後ろ(目の中)に入ると最悪な場合失明することもあります。蜂の針の長さはそれぞれでスズメバチは長いと7mmもあります。一方アシナガバチは針が短く1mmにも満たないこともあります。角膜の厚みが0.5mmですので蜂によっては目の中に毒は入ってしまいます。
いずれにしろ、目の表面に刺されると救急処置が必要です。刺されないように蜂の駆除などするときはゴーグルなどをしましょう。


びっくり病原体<その4>
緑膿菌

緑膿菌は水場にいる細菌です。ですので、コンタクトレンズのケースなどに入って、増えるとバイオフィルムという固まりを作ります。バイオフィルムをつくると消毒液もななかな効かないので、そのうちにレンズも汚染して、角膜に感染症を起こすことがあります。角膜炎以外にも、涙嚢炎といわれる涙が鼻への抜ける通り道の感染症を引き起こします。炎症は強いため、眼科では怖い菌として認識されています。治療はキノロン・アミノグリコシドといわれる抗菌薬の点眼を使用します。
(写真 レンズケース内の緑膿菌がバイオフィルムをつくっているところ)

びっくり病原体:緑膿菌

びっくり病原体<その5>
アデノウイルス

アデノウイルスはDNAウイルスの1種です。乾燥にも強く、机や紙などにも生きたままで数週間は存在できます。眼科では急性結膜炎いわゆるはやり目を引き起こします。炎症が強い場合は黒目(角膜)にも白い斑状の混濁を起こします。ウイルスの方によって症状が異なるといわれます。一般的には一度罹患すると同じ型のウイルスにはなりにくいといわれますが、ウイルスはすぐに変異をして、違う型になって再度結膜炎を起こしてしまいます。現状ではアデノウイルスを殺す抗ウイルス薬は、ないので、ウイルスが自然に消えるまで待つしかありません。だいたい2~3週間かかります。その間に、家族内や学校内で流行することもしばしばです。ウイルスの検出にはキットを用いますが、発症比較的早い時期でないと検出できないため、陰性でも可能性は否定できません。
眼科医が最も感染をひろげないように注意している病原体だと思います。
写真は結膜炎と結膜炎後の混濁の写真です。

びっくり病原体:アデノウイルス

びっくり病原体<その6>
ニキビダニ Part2

このシリーズ初回で紹介したニキビダニですが、めざましテレビやビビットに提供した写真(写真)の反響もありましたので、改めて説明します。テレビでは若干”強調”されすぎたこともあるので、事実も含めて、Q&Aで解説します。

=Q1= マツゲダニとニキビダニって別?
(A1)同じです。正確に言えばマツゲダニというのは”通称”であって正確ではありません。日本語の正式名称はニキビダニで、たまたま、まつ毛にいれば”マツゲダニ”となっています。正式名はDemodex(デモデックス)で、毛の毛根にいるのが、Demodex folliculorum (こちらがニキビダニ)、脂腺にいるのがDemodex brevis(コニキビダニ)です。まつ毛はにいるのは、Demodex folliculorum のほうですが、まれにDemodex brevisもいます。
=Q2= ニキビダニはどれくらいの人にいるのですか?
(A2)テレビでは5人に1人といっていましたが、ニキビダニ自体はほぼ全員の顔に入るといわれています。アメリカの実験でも証明されています (詳しくはこちら※外部リンク)。 ただし、まつ毛にいる率は、論文によると、トルコで330名中88名26.7%という報告がありますが、日本人での報告はありません。ただ、当院で見てる限り高齢者は50%以上、若年者は10%前後って感じです。たぶんですが、まつ毛を全部抜けば、だれでも1匹ぐらいいると思います。もう少しでしっかりした日本での疫学データも出てくるかもしれません。
=Q3= ニキビダニがまつげから出たら即アウト?
(A3)テレビではニキビダニがでれば、アウト的な感じで紹介されていましたが、正常な方でもいます。ですので、数本抜いて1匹(当院でも4~5本のまつ毛を抜いてしらべています)ぐらいならば、全く問題ありません。ただし、5本抜いて、全部にニキビダニがいて、それも1本に5匹以上いる場合、かなり増えていると考えます。
=Q4= ニキビダニはまつ毛で悪いことをしますか?
(A4)前述のように、1匹たまたま見つかったぐらいでは、炎症も起こさないと思います。逆に皮脂の掃除をしてくれるという善玉の要素もあるようです。一方、写真のように明らかに数多く出てくる場合は、毛根も弱くなり、まつ毛が抜けやすかったり、まつ毛の根元を炎症をお越し、かゆみの原因になります。
=Q5= ニキビダニが出ればドライアイになるとテレビで言ってましたが、本当ですか?
(A5)まだ、はっきりとは証明されていないと思います。たしかにマイボーム腺という涙の油分をだす腺が悪い人のまつ毛にはいますが、結果を見ているだけで、原因かどうかはまだわかりません。ただ、まつ毛が汚れているということは油の腺も汚れていることが多いので、まぶたの清潔度を確認するにはニキビダニをみるのもいいかもしれません。
=Q6= メイクの影響は?
(A6)テレビでも言ってましたように、毛根をメイクで覆いかぶせるとニキビダニの餌の皮脂がふえて、結果的にニキビダニが増えるかもしれません。そのため、やはり、まぶたのお掃除が必要です。
=Q7= まつ毛のきれいなお掃除方法は?
(A7)私が所属しているLIME研究会に案内があります。ぜひ参考にしてください。詳しくはこちら※外部リンク
=Q8= ニキビダニがいるか調べたいんですが、眼科でできますか?
(A8)テレビでは「ご心配の方は眼科へ」と言ってましたが、ニキビダニを見ていない眼科クリニックもあると思います。一度確かめてからいかれた方がいいと思います。当院では院長の診察日に行っています。

ということで、ニキビダニ 紹介でした。Questionがある方はコメントで聞いてください。

びっくり病原体:ニキビダニ Part2

びっくり病原体<その7>
ヘルペス

ヘルペスウイルスは皮膚だけでなく、目にも悪さをします。特に角膜に出てくると、視力低下などの症状を引き起こします。角膜ヘルペスの診断は典型例ですと比較的簡単ですが、何度も繰り返している症例などは分かりにくいことが多いです。患者さんによっては特定の季節で出てくる(冬が比較的多いです)方もいます。最近では、角膜の一部を使用して、ヘルペスを診断するキットも出ています。治療は、アシクロビルといわれる抗ウイルス薬を使用しますが、病型によっては抗炎症薬も使用します。ストレスや調子が悪いと出てきますので、片目が見えにくくなったり、充血する場合は眼科に行ってください。

びっくり病原体:ヘルペス

びっくり病原体<その8>
アカントアメーバ

アカントアメーバは、洗面所などの水場に存在する原虫で、環境中にはどこにでもいます。コンタクトレンズやレンズケースが細菌感染すると、細菌を餌とするアメーバも増殖しやすくなります。その結果、コンタクトレンズにアメーバが汚染し、目の表面にも感染症を起こします。非常にまれな疾患なので、診断もむずかしいことがあります。アカントアメーバに効く薬が少ないので、治療にきかず、重症化することもあります。場合によっては角膜移植が必要になることも。。やはり、予防にはレンズケアが重要です。

びっくり病原体:アカントアメーバ


びっくり病原体<その9>
肺炎球菌

肺炎球菌と聞くと肺炎を起こす菌というイメージがありますが、目にも角膜炎や結膜炎をおこします。乳幼児の喉に、病気を起こしていない状態で常在していることがあり、なんらかのきっかけで、増えて、乳幼児に結膜炎を引き起こしたり、乳幼児と接触した大人にも結膜炎をおこします。急性結膜炎でときとして、ウイルス性結膜炎(俗にいうはやりめ)と鑑別が難しい場合があります。目やにを顕微鏡で確認すると、2つ菌がつらなる双球菌が確認でき、すぐに診断ができます。結膜炎に関しては抗菌薬点眼と数日でよくなりますが、角膜炎は重症化すると治癒するまで時間がかかります。

びっくり病原体:肺炎球菌


びっくり病原体<その10>
東洋眼虫

ネットニュースにアメリカで14匹の線虫が目から見つかったというニュースがありました。
=詳しくはこちら= ※外部リンク;National Geographic 記事ページ

実は日本でも似たような病気があり、東洋眼虫症というものがあります。ネットニュースと同じ線虫の種類である東洋眼虫が目で悪さをします。めまといというショウジョウバエが媒介します。西日本の方が多いようです。今まで東洋眼虫症は何例かみていますが、取れば治ります。写真は目からみつかった東洋眼虫です。